yamadattt's blog

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入管法改正が成立したので、思うところをまとめる 

入管法改正案成立

入管法の改正案が2023年6月9日に成立した。

外国人の収容や送還のルールを見直す入管法の改正案は、9日の参院本会議で採決が行われ、自民・公明両党の他、日本維新の会や国民民主党などの賛成多数で可決され、成立した。 現在の出入国管理・難民認定法は、難民申請すると、申請期間中は送還が停止される。このため、申請を繰り返すことで送還を逃れるケースが指摘されている。 今回の改正では、3回目以降の難民申請について、難民などに認定すべき「相当の理由」がない限り、送還停止の対象外とする。【速報】改正入管法が成立 強制送還・難民申請ルール見直し(FNNプライムオンライン) - Yahoo!ニュース

興味があるこの問題

自分はこの問題に興味があるほうだと思う。

技能実習生をテーマにしたドラマを観たり、ウクライナの避難民、それに対比される他の難民をよく見聞きする。

ドラマだったら、MIU404は秀逸だったと思う。また、クルド人難民をモチーフにした「マイスモールランド」が話題になっていた。また、入館でウィシュマさんが無くなった事件は記憶に新しい。

そういえば、「難民」と「避難民」という言葉を使い分けるのは、裏にある何かを感じざるを得ない。

自分の立ち位置

で、先に自分のポジションを言うと、この改正案には反対。まさか通らないと思っていたけど、通ってしまったのにショックを受けている。

もう成立してしまったけど、モヤモヤするので自分の考えなどをまとめるために書いている。

改正案に対する自分の理解

立法事実

立法事実は引用した記事にあるように、以下だと理解している。

現在の出入国管理・難民認定法は、難民申請すると、申請期間中は送還が停止される。このため、申請を繰り返すことで送還を逃れるケースが指摘されている。

難民申請する人はいるけど、本当の難民はごく少数だ。母国に送還されないように、難民申請を繰り返すことが多い。だから、改正案では再申請の回数を制限して、制限を超えたら強制的に送還できるようにしようというもの。

立法事実のほころび

ほころびがでてきたと理解している。

難民の認定には、参与員制度がある。参与員は入管が難民不認定とした人の不服申し立てを審査する民間の識者で、法務省が委託する。この参与員の柳瀬氏は国会で「難民を探して認定したいと思っているのに、ほとんど見つけることができない」と述べており、これが立法事実として扱われた。

しかし、この柳瀬氏のは2年間で2500件ぐらいを担当。1人あたり10分ぐらいしか費やしていない計算になる。また、柳瀬氏は1年半で500回の対面審査をしたと言っている。この1人あたり10分に対面の審査も含まれるのか疑問だ生まれた。法務大臣の斎藤さんは記者会見でこの面会は「可能」と言っておいて、あとで「実は不可能と言いたかった」と発言を訂正している。前後の文脈を考えると、「可能」と言いたいのだと思うのだけど、「不可能」と訂正している。

「不可能」だったら、ちゃんと不服審査していないと言える。「難民を探して認定したいと思っているのに、ほとんど見つけることができない」という発言は、「ちゃんと審査してないから、見つけられないんじゃないの!」というツッコミを入れることができる。

難民条約との矛盾

また、日本は国際難民条約を締結している。

難民条約について – UNHCR Japan

難民条約には以下が記されている。強制的に追放してはいけないとあるのに、申請回数によって強制的に追放される。

1.難民を彼らの生命や自由が脅威にさらされるおそれのある国へ強制的に追放したり、帰還させてはいけない(難民条約第33条、「ノン・ルフールマン原則」) 2.庇護申請国へ不法入国しまた不法にいることを理由として、難民を罰してはいけない(難民条約第31条)

2023年のG7広島サミットでの首脳宣言との矛盾

G7広島サミットにおける宣言との矛盾もある。

https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100507034.pdf

我々は、難民を保護し、避難を強いられた人々や受入国及びコミュニティを支援し、難民及び避難民の人権及び基本的自由の 完全な尊重を確保し、性的及びジェンダーに基づく暴力からの自由を含む紛争、危機及び避難により悪化した、脆弱な状況に直面する人々や疎外された人々の権利擁護と促進に対するコミットメントを再確認する。

まとめ

以下の理由から成立はしないと思っていた。

  • 立法事実に根拠がない
  • 国際難民保護条約に矛盾
  • G7サミットの宣言に矛盾

でも、成立しちゃったんだよな。それなら、少なくとも難民保護条約からは脱退すればいいのに。なんて、乱暴なことも思ってしまう。